第8章 【第五講 後半】文化祭といえばライブがつきもの●け姫
○○は脳内で声高に叫ぶ。
――くっだらねェェェ!!!
今ならば命令されなくても地面に手を付いて座り込むだろう脱力感。
文化祭の熱に浮かされて恋をしては玉砕した八つ当たりバカのせいで、頭丸焦げにされねばならぬのか。
「□□!」
○○は伏せていた顔を上げた。
見上げた男の顔面に、飛んで来た何かが直撃した。
男は塩酸の瓶を落とし、○○の頭上に落下する。
「ぎやあ!」
○○は体を引き、寸での所で回避した。
瓶が割れ、中身がぶちまけられる。
「□□!」
「□□!!」
ステージ下から近藤と土方が声を上げる。
風紀委員の意地の見せ所――
二人の声で息を吹き返した○○は顔を上げた。
同時に見えたのは、男のみぞおちに肘打ちを食らわせる通の姿。
通は自らの手で男の手から逃れた。
通が恐怖に打ち勝ち、果敢に行動しているというのに、生徒達を護る立場の自分が腰を抜かしていてどうする。
自分を叱咤し、○○は必殺技・ももパーンッを男にお見舞いした。
「あばよ」
ほぼ同時に、ステージ上に上がっていた銀八が男の顔面に拳を叩き込み、男は倒された。