第20章 【第十六講】『やっぱり』猫『が好き』
「死んだはずのトシの声が聞こえるわ。私を責めているのかしら」
「死因はマヨネーズじゃねェ。犬が可愛くねーからだ」
飼い犬を亡くして傷ついた○○の元に野良猫が現れた。
猫の役は高杉だ。
「犬より猫だろ」
「高杉……! お前はいいのか!? それでいいのか!?」
「猫は犬よりすばしっこいからな。追いかけりゃ、運動不足解消で生活習慣病予防にもなるぜ?」
高杉はニヤリと笑う。
「随分なこじつけだな!愛犬と一緒に散歩の方がよっぽど理にかなった健康維持法じゃねェか!!」
犬の声は、猫に心奪われている○○には届かない。
「死んだトシの分まで、愛情を注いで育てなきゃ……!」
猫は室内飼い。
○○は猫杉を自室へと招き入れる。
「……!!」
一つ屋根の下ポジションを掠め取られ、土方は苦悶する。
野良猫はここら一帯のボスだった。
ボスを返せと、他の野良達は大合唱。
「にゃあおおおお(晋助様を返せ)」
「うんにゃあああ(晋助を返すでござる)」
「にゃああああん(晋ちゃん、今日のお昼はちゅ~るパン?)」
「にゃおおおおん(子どものメス猫はいませんか?)」
「うるせェェェェ!!」
「どいつもこいつも素人芝居見せやがって」
土方の怒声とともに日本史教師の服部がステージに上がり、○○と土方は追いやられた。