第20章 【第十六講】『やっぱり』猫『が好き』
体育館に三年生が列を成して座っている。
健康診断を終え、これから医者による特別授業が行われる。
結局、銀八は来なかった。代わりに教室に現れた副担任によると、出勤していないのだという。
「やはり、僕は身長が伸びないのだろうか……」
「九ちゃんはそのままで充分素敵よ」
身長が一ミリも伸びていなかった九兵衛が妙に慰められ、
「せっかくガチガチに固めたのに、ムダになったアル。スプレー代返せよコルァ」
神楽は誰にともなくキレている。
インチキをしようと髪を逆立てて測定に行ったが、咎められて正確な高さで測られたからだ。
担任が無断欠勤をしているというのに、誰も心配などしていない。
「○○、少しはデカくなってたか?」
沖田は○○の胸を指し示す。
「測ってないし、土方くんより明確にヒドいセクハラ」
「総悟、そういうのはよくないぞ。それに、貧乳も悪くない。スレンダーで魅力のある女性はたくさんいる。たとえ、洗濯板みたいな胸でもな」
そう言う近藤の頭の中は妙の胸でいっぱいになっている。
「なんだろう。近藤さんにも日常的にセクハラされてる気がする」
妙に対する振る舞い以外にも、所構わず裸になったり、目に余る行為が多々ある。
「ここからは、生活習慣病について勉強していきましょうね」
医者と看護師がステージに立ち、特別授業が始まった。