第19章 【第十五講】大人しく監視される不良には裏がある
「俺はただ、いなすだけだ」
高杉はポツリとつぶやいた。
「それが言いたかっただけか! やっぱりぶっ壊すつもりだったんじゃねーか!!」
「それだけじゃねェ」
高杉の眼光が鋭くなった。
○○は一旦退き、体勢を整えた。
高杉は刀を下ろした。
「ぬるい戦いには飽きただろ? 真剣勝負といこうじゃねーか」
刀をもう一本取りだすと、○○に向けて投げた。
○○は華麗に受け取った。
「加減はいらねーぜ。本気で来い」
高杉は鞘を抜いた。キラリと光る日本刀。
対する○○も鞘を抜く。同じく、銀色に光る刀身が照明を反射している。
「いやいやいや! どこの世界に真剣での斬り合いを許す高校があんだよ!!」
銀八の声が始めの合図かのように、○○と高杉は同時に身を乗り出した。
鍔迫り合い。
「皆さん! 剣道部に興味を持って頂けましたか?」
刀を合わせながらも、○○は中学生にアピールをする。
「もはや剣道じゃねーよ! 真剣だもの! カチンカチン言ってるもの!! 全員引いてるじゃねーか!」
目の前で繰り広げられる命のやり取りに、中学生はドン引きしていた。
「で、おめーらはやっぱ頭おかしいのな!」
目にも止まらぬ攻防に、3Z生徒の半数が歓声を上げていた。