第19章 【第十五講】大人しく監視される不良には裏がある
「そっちは任せてるのに、なんでこんなことになってんの?」
3Z生徒と教師達は連なって、プレハブ小屋へとやって来た。
その後ろには、中学生二十人と、その保護者二十人。
「会わせないために監視してたのに、そっちから乗り込んで来てどーすんのよ」
「こっちだって大変だったんだ」
土方は口を尖らせている。
体験入学参加者の中学生達は部活を見学した。
三つの部活を見学したが、部員達が遠征、合宿、コンテストで不在だった。
急遽3Zの生徒が部員に扮したが、その時点でもう結果は目に見えている。
中学生達はあからさまに銀魂高校への興味を失っていた。
「こんなときのための風紀委員でしょ」
「誰がこんな事態、想定してんだよ」
陶芸部が見たいと言い出した中学生に対し、教師も生徒も困惑した。
そもそも、銀魂高校に陶芸部があるのか――まずそれすら誰も知らない。
それでもここまで散々な部活を見せて幻滅されているから、無碍にすることは出来なかった。
この状況で手を挙げたのが、武市だった。
高杉一派が陶芸部のフリをする、と。
「恐喝、カツアゲどころか、良き先輩達じゃん」
「よかねーだろ」
武市はまた子に電話をし、これから向かうから陶芸部っぽく準備をしてほしいと伝えたのだった。
「そろそろいいかな」
準備のための足止めを買って出た○○は、プレハブ小屋の前で彼等を待ち受けた。
「――以上です」
結果、高杉一派が演じた陶芸部も散々なものだった。当然だ。
中学生達からは落胆を通り越し、怒りすら見えている。
「生意気なガキ共だな。一発入れとくか?」
「ダメ! 来年の受験者ゼロになる!!」
涼しい顔で言い放つ高杉を○○は止める。
成す術のない状況に、銀八は一人の男にこの場を上手くまとめることを依頼した。
フォロ方十四フォローだ。
「いや、無理でしょ!」
依頼というより、強制だ。
銀八は無理やり土方を参加者の前に引っ張り出す。
土方は頑張ってフォローしたが、銀八は3点と酷評した。