第19章 【第十五講】大人しく監視される不良には裏がある
「少し買い物に行くくらいいいじゃないか」
「ハイそうですね、なんて通せるわけないでしょ。何のためにここにいると思ってんの?」
目論見通り、いや、高杉一派の監視を一手に引き受け、○○はプレハブ小屋にいる。
近藤、土方は一人では危険だろうと反対したが、頑として受け入れなかった。
彼等がいたら、完全に風紀委員と高杉一派でバチバチになる。
「困ったねェ……晋ちゃん、やっぱり追い出そうよ」
似蔵は振り返り、高杉を見る。
根城の王は泰然と足を組んでいる。
万斉、また子、似蔵が大人しく○○の監視下にいるのは、高杉が許しているからだ。
根城に乗り込んできた○○に対し、高杉は一言「好きにしろ」と言い放った。
大将が在室を認めているならば、自分達にどうこうする権利はない。
そうでなければ、力づくで追い出している。
○○と高杉は見合った。
どちらもカエルにはならない。ヘビ対ヘビ。
互いに引かぬ壮烈な睨み合い――と思っているのは周りだけ。
○○はこの状況を謳歌している。
その時間を終わらせたのは、また子の携帯電話の音だった。
また子はディスプレイを見た。
「武市変態からっス」
武市は今、銀八の所にいる。
3Zの生徒の中に混ざり、中学生を出迎えている。強制参加させられているわけではなく、自ら志願した。
真面目な性格の武市が高杉一派に加わっていることを、○○は少し不思議に思っている。
「武市変態、なんスか?」
電話に出たまた子は頓狂な声を上げた。
「は? 陶芸部?」