第18章 【第一四講】恋と抗争のドラマが織りなす境界線
高杉は○○の元へと歩み寄ると、胸倉を掴み上げた。
「大人しく消えろ」
射貫くような目に、○○は体を強張らせる。
「晋助」
高杉の表情に、万斉は戸惑う。
相手が女子生徒だろうと容赦はしない、それはいつもの通りの高杉だ。
老若男女、誰かれ構わず手加減はしない。
だが、今の高杉には感情が含まれているように見える。
何を考えているのかわからない。何も考えずにただ破壊行為を行う。
我々のボスは、そんな男だったはずだ。
「離して」
○○は高杉の手を振り払った。
高杉を睨みつける。○○が怯んだのは一瞬だけ。
忘れてはいない。
相手は、銀魂高校きっての不良。ここら一帯で恐れられる、凶悪な男だ。
忘れては、いけない。
○○を助けた高杉は、彼の一面に過ぎない。
この顔が、彼の本性だ。
「他の生徒を傷つけることだけは許さないから」
○○の警告を高杉は鼻であしらう。
「知ったこっちゃねェ」
目の前を塞ぐ邪魔者は、ただ排除する。
相手が誰だろうと知りはしない。
「巻き込まれたくなかったら、近づかないことだな」
言い残すと、高杉はプレハブ小屋へと戻って行った。
万斉と武市も姿を消し、その戸はピシャリと閉じられた。