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~セーラー服と銀八先生~ 銀魂3Z沿い小説

第18章 【第一四講】恋と抗争のドラマが織りなす境界線


 朝のホームルーム前、○○は顔を強張らせてグラウンドを見下ろしていた。
 グラウンドの真ん中には十字に組み合わされた木の棒が刺さっている。
 ついさっきまで、そこに一人のヤンキーが括り付けられていた。
 名前も知らない、風紀委員にとっては取るに足らない雑魚ヤンキー。
 その首に板がぶら下げられていた。

 ――果たし状

 名指しされていたのは、銀魂高校の一人の生徒。
 その生徒は、風紀委員ならば誰もが知る、銀魂高校の生徒なら誰もが知る、巷の不良ならば誰もが知る大魚。

「思わぬ方向に転じたもんだな」

 土方が低い声を落とす。
 吉原商業文化祭での喧嘩は、その日だけでは終わらなかった。
 あれ以来、銀魂と夜兎工の不良は顔を合わせる度に小競り合いを起こした。
 その小競り合いは日に日に激化し、両校のヤンキーを巻き込んだ抗争にまで発展した。

「まさか、神威が出てくるとはな」

 いつぞやのステッカー押し売り事件の組織を壊滅させた、神威という男。
 夜兎工で頭を張るその男は、高杉に劣らぬ凶悪な不良と聞く。
 その男が高杉を名指しし、決戦を申し込んできた。

「どうする? 俺達も介入するか?」

 近藤は腕を拱く。
 決戦の場は、銀魂高校のグラウンドに指定されていた。
 学校で騒ぎを起こされることは、風紀委員としては避けたい所だ。

「その必要はねーだろ」

 今回の決戦は前もって、日時と場所が指定されている。
 一般の生徒が巻き込まれる恐れはない。
 高杉と神威の怖さは知られている。興味本位で近づく阿呆もいないだろう。

「下手に介入して、巻き込まれたら命の保証は出来ねーしな」

 近藤、土方、沖田等はともかく、風紀委員の他の生徒を巻き込むわけにはいかない。
 今回は相手が悪すぎる。

「そうだな」

 風紀委員は静観する。
 委員長、副委員長は決定した。

「不良同士の抗争なんて、私達には関係ないもんね」
「そういうこった」

 そのはずなのだ。
 それなのに、放っておけなかった。
 矢も盾もたまらず、根城にまで来てしまった。
 風紀委員としてではなく、個人的に、高杉のことが気にかかっている。
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