第17章 【第一三講】辻褄を合わせるのも楽じゃない
「銀魂高校から来ました、□□○○です」
ステージ上で○○はペコリと頭を下げる。
「出場者全員、銀魂高校から来てるんスけどね」
数時間が経過し、ようやく○○は出番を迎えた。
体育館を抜け出し、ついさっきまで武道場で竹刀を振っていたため、体は温まっている。
その間、銀八はずっと武道場の端でジャンプを読んでいた。
正直鬱陶しかったが、邪魔するわけでもなくただそこにいただけだったため、排除することもできなかった。
「つーか、受かる気あるんスか?」
○○はオーディション参加者にあるまじき鋭い目つきで審査員を見渡していた。
眉間にしわを寄せ、三白眼で睨んでいる。
目の前に並ぶは風紀委員の天敵、銀魂高校切っての不良、河上万斉、高杉晋助、来島また子。
溢れ出る敵意が隠せない。
「それでは□□○○さん、パフォーマンスをどうぞー!」
「よろしくお願いしまーす」
すちゃっと○○が取り出したのは、誰もが子どもの頃に吹いたことがあるであろうメジャーな楽器。
「リコーダーとはまたショボいチョイスッスね」
ここまでエレキギター、キーボード、アコースティックギター等々、一応はバンドらしさを醸し出す出演者を見てきた。
○○は服装もいつも通りの制服だ。
バカラッパーのように明るいパーカーを着てのパフォーマンスではない。
一見、ただの音楽の授業風景。