第17章 【第一三講】辻褄を合わせるのも楽じゃない
――吉原商業に行きたいかー!
との言葉に、応募者達は「おー!」と応えている。
○○と桂の周囲には、たくさんの人がいる。
オーディション参加者数は、○○の予想を遥かに上回るものだった。
「あァ、うるさかった」
声のボリュームが落ちたため、○○は耳から手を放した。
万斉はオーディションに関する説明を粛々と続けている。
「結構待ちそうだなァ……」
「○○殿」
桂はコホンと再び咳払いをすると、再びの再び○○に目を向けた。
「俺の恋――」
――トップバッターのミュージシャンは、こいつだカモン!
万斉の声に反応し、桂は舞台へと目を向けた。
「○○殿、話の続きはまた後だ。行ってくるゼ、ヘイ、ヨー♪」
チェケラ♪ と桂は指を向けた後、揚々とステージへと向かう。
「アンタ、トップバッターなんかい」
オーディションはエントリーの順番で行うと言っていた。
いの一番に応募をした、やる気に満ち溢れたヅラである。
「ヅラじゃない、カツラップだYO!」
地の文にツッコミを入れ、DJ・OZURAはステージ上でパフォーマンスを展開する。