第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
財布を抱えて向かったのは、校舎一階にある購買部。
本日のお昼は、さて、何を食べよう。
当然ながら、焼きそばパンは既に売り切れ。コロッケパンもなかった。
あんぱん、食パン、カレーパン。ジャムバタチーズ、だんだんだん?
「食パンは置いてないんじゃないかな」
独り言を呟きながら、○○はメロンパン●ちゃん、ではなく、メロンパンを手に取った。
飲み物は牛乳か、コーヒー牛乳か、いちご牛乳か。
やっぱり牛乳かなと、ノーマルな牛乳に狙いを定め、手を伸ばした。
すると、左側からにょきりと伸びて来た手と手が触れ合った。
互いに「あっ」となるありふれたシチュエーション。
思わず相手を見ると、見慣れた顔があった。視線が合う。
「なんだ、土方くんか」
「□□……!」
土方は驚いたように目を見開いた。
慌てて手を引っ込める。
「てめぇはいつもいつも……!」
「いつもいつも、何よ」
土方は口をつぐむ。
人をうろたえさせやがって……! などとは言えない。
「○○も今日はパンか」
土方の後ろには近藤がいた。
その手にはコロッケパンとカレーパンが握られている。
「うん。メロンパン」
「○○も一緒にどうだ?」
二人は屋上でランチをとるという。
「行く行く」
今日はとても天気がいい。
屋上での昼食はさぞ気持ちがいいだろう。