第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
○○は教科書とノートをしまい、代わりに財布を取り出した。
教室の後方では、妙と九兵衛が食堂に行こうと話している。
長谷川は頬杖をつきながら求人誌に目を通していた。
三者三様の趣が漂う3Zのお昼休みは、いつもと変わらない。
高杉が教室に現れるようになってから数週間。
当初、クラス内は少なからずザワついていたが、今では誰も彼を話題に上げる者はいない。
だが、風紀委員の面々は変わらず目を光らせている。
中でも目をギラつかせているのは、もちろん土方だ。
相手が銀魂高校きっての不良だから、という理由だけではない。
今度こそ手柄を――と息巻いて狙っていた“ボンタンランハングループ”をぶっ潰したのが、あろうことか高杉達だったからだ。
――また不良に手柄取られてんじゃん(笑)
などと思われていないことはせめてもの救いだが、そんなことは関係ない。
これは自身の、風紀委員のプライドの問題だ。
高杉達が奴等を壊滅させた。
その事実を知っているのは、風紀委員の幹部のみ。
自分達がぶっ壊したと、奴等は吹聴したりはしない。
高杉一派が“ボンタンハンラングループ”をボコボコにした場に山崎がいた。
その時、山崎は高杉一派への潜入捜査を行っていた。
そのため、○○達はその事実を知ることが出来た。