第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
時を進め、再び水曜日の昼下がり。
四限目終了のチャイムが鳴り響く。
「どけ、チャイナ!」
「私の邪魔すんじゃねェェェ!!」
キンコンカンコンのキの音と同時に、二人の生徒が廊下へと飛び出した。
沖田と神楽は互いを妨害しながらダッシュする。
四限目の終了と共に駆け出す理由は一つだけ。
購買部へと向かっているのだ。目的は焼きそばパン。
今日のように沖田と神楽がたまたま同日に焼きそばパンを狙う日は決まってバトルになる。
大人気のそのパンは毎日あっという間に売り切れる。
それゆえ、3Zの生徒でなくても、授業が終わると同時に駆け出す者は多い。
「授業を終わります……」
だとしても、教師が授業の終わりを宣言する前に飛び出す生徒は稀だろう。
――やっぱり、3Zは嫌だ……
教室を出て行く教師の背中からは、そんな言葉が漏れ聞こえる。
○○はノートの卑猥物――ではなく、描きかけのジャスタウェイの横に次の一文を加えた。
『ジャスタウェイはジャスタウェイ以外の何物でもない
それ以上でもそれ以下でもない』
そしてノートを閉じた。
文章の前にまず目と口と手を加えろとツッコミを入れて然るべき。