第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
「□□」
「土方くん」
「収穫はあったか?」
○○は首を振る。
やっぱりなと、土方は息を吐く。
「奴等、どこに身ィ潜めてやがんだ」
土方は舌打ちをする。
見廻りをはじめて数日、何の手がかりもない。
このままでは、ステッカー事件と同じ轍を踏みかねない。
「そんなことよりさ、今の近藤さん、見た?」
しかし○○には、ボンタン狩りグループよりも気になって余りある存在がいる。
「近藤さん?」
土方は近藤を目撃していなかった。
「近藤さん、族にでも入ったの?」
近藤が跨っていた自転車は通常の形をしていなかった。
ヤンキーが乗るバイクよろしく、改造が施されていた。
「忙しいって、族に入ったから?」
土方は眉間に皺を寄せる。
「何を訳のわからねーこと言ってやがる。うちの委員長が人の道に外れた真似するか」
「そうだよね」
単純単細胞のバカゴリラ。
あの委員長に限って、道理に悖る行いはしないはずだ。
「まァ、ある意味、人の道は外れてるけど」
委員長が進むのはゴリラ道。