第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
「お姉さん、うちで働かない?」
「SMプレイが好きなら、うちがおススメだよ」
「そんなことに使う竹刀じゃねェ!!」
繁華街を歩いていると、○○に目を留めた風俗店の従業員にスカウトされる。
「セーラー服以外にも、チャイナ服とかナース服とか着られるよ」
「誰がコスプレだ!!」
○○は銀魂高校のセーラー服に身を包んでいる。
年齢的に考えると、銀魂高校の生徒達は大部分がコスプレだ。
この辺りには、ボンタン狩りグループどころか、高校生の姿すらほとんど見られない。
風俗店が立ち並ぶ界隈を離れ、○○は駅の近くへ戻った。
しかし駅前は明るく安全で、物騒な気配は見られない。
次はどこへ足を向けようかと思っている○○の耳に、不快な音が飛び込んで来た。
チリリリリンとベルを掻き鳴らし、一台のママチャリが爆走して来た。
迷惑な走行をしているなと、向けた○○の目に入ったのは、チャリを駆るゴリラ。
そのゴリラっぽい風貌には嫌という程見覚えがある。
我等が風紀委員長、近藤勲だった。
「近藤さ――」
あ、ゴリラ。
と思い、声をかけるまで約一秒。
近藤は○○に気づかず、あっという間に走り去ってしまった。