第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
それから数日、事態は何も変わらなかった。
相変わらず、ボンタン狩りは続いている。
○○はステッカー詐欺事件の際よりも見廻りに多く加わっているが、目ぼしい情報は得られていない。
○○は竹刀を肩に担ぎ、繁華街を訪れている。
その風体だけを見ると、○○が一番物騒だ。
「近藤さんは?」
いつも見廻りに参加している近藤が今日はいない。
「委員長は今日は不参加だ」
忙しいらしい、と付け加えられた土方の言葉に○○は怪訝な顔をする。
「忙しい? 近藤さんが?」
警察庁や幕府に顔を出している本編と違い、一高校生であるコチラの近藤の何が忙しいというのか。
受験勉強? している気配はない。
妙を追いかける以外、委員長にやることなどなさそうだ。
「委員長不在でも、気ィ引き締めて事に当たれよ」
「そりゃ、気は引き締めてるけどさ」
委員長がいてもいなくても、○○のモチベーションには何ら影響はない。
「んじゃ、俺は向こうの広場の方を見廻って来やす」
足取り軽やかに、沖田は○○と土方に背を向けて歩いて行った。
「じゃ、私は向こうの通りの方に行って来る」
三手に分かれ、○○達はボンタン狩りグループを追う。