第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
「要するに、土方さんは手柄が欲しいんでしょ」
飄々と、沖田が口を挟む。
「ステッカー事件では役立たずでしたからね」
「他人事みてーに言うな。お前も何も掴めなかっただろーが」
一ヶ月前、風紀委員が追っていたステッカー押し売り詐欺グループは、神威という夜兎工の生徒に壊滅させられた。
風紀委員総出で事件解決に動いたにも関わらず、犯人の目星すらつけられないうちに事件は終わった。
風紀委員の名折れである。
銀魂高校の生徒達は、風紀委員が動いていたことを知っている。
ようやく安全に外を出歩けるようになった、と安堵する生徒達の目に、風紀委員への蔑みの色を土方は感じている。
事件を解決したのは他所の不良達。
規律がどうだ治安がどうだと常日頃言っているくせに、不良に先を越されるとか、うちの風紀委員なにやってんの?
と思われているのではなかろうかと思うと、屈辱でならない。
そこに発生した、今回の“ボンタン狩り”。
一般生徒に被害はないが、名誉挽回、汚名返上のチャンス到来。
奴等を一掃し、かぶき町をクリーンで訪れやすい町にする。
そのために、土方は風紀委員総出で奴等を一網打尽にする所存だ。
「今度こそ、俺達の手で平和を取り戻すぞ」
やれやれと○○は息を吐き、沖田は肩を竦めた。