第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
今から数週間前、かぶき町界隈で“ボンタン狩り”が横行していた。
ステッカー押し売り事件の終息から、一ヶ月と少し経った頃のことだった。
「別に、私達には関係ないじゃん」
教室の一角に○○、土方、沖田の姿があった。
「関係ないことあるか。奴等のせいで、銀魂高校周辺が物騒な場所だと思われてんだぞ」
のほほんとした○○の表情とは対照的に、土方の眉間には皺が寄っている。
「銀魂高校周辺は静かなもんだよ」
土方の言い分を○○は真っ向から否定する。
事実、銀魂高校の周囲に剣呑な気配ない。
ボンタン狩りを行っているのは、少なくとも銀魂高校の不良ではない。
我が校の不良共はなりを潜めている。
風紀委員が目を光らせているためか、今は他行より自行のこと――高杉一派という目障りな輩のことしか考えていないためかどうかは定かではないが。
とにかく、他行の不良の所業に風紀委員が本腰を入れることはない。
「不良が不良狩ったって、こちとら痛くも痒くもないよ」
ステッカー事件では、真面目な生徒がターゲットにされていた。
今回は他行の不良が不良相手に絡んでいるだけ。勝手に潰し合え、というのが○○の本音だ。