第16章 【第十二講】いつかまたこの場所で君とめぐり会いたいはチェリー
とはいえ、怖気づくのも仕方がない。
停学になる前、高杉は銀魂高校の生徒教師、他校の人間問わず狼藉を働いていた。
喧嘩上等、タイマン夜露死苦、バイオレンスな悪行三昧、仏恥義理の超絶不良。
長期停学になる程の事態が生じたには、それなりの理由がある。
鉄パイプを持った他校の不良数十人に対して素手喧嘩で臨み、全員を半殺しにしたとかしないとか。
噂に尾ひれ背びれがつき、もはや何が真実かもわからない。
「ヒッ!」
高杉が立ち上がると、教師は怯えて教卓に身を隠した。
だが高杉は何もせず、教室を出て行った。
いつもそうだ。
銀八の授業でも、源外の授業でも、強面の松平の授業でも、フラリと現れ、フラリと出ていく。
全ては、奴の気の向くまま。
「じゅ、授業を続けます……」
高杉が出て行くと、教師は明らかにホッとした様子を見せた。
声は震えているが、何とか授業の体は成している。
気の弱い教師にとっては、彼がいるだけで胃に穴が空きそうになる。
○○は落書きの手を止めた。
ノートを飾るのは、描き途中のジャスタウェイ。
手が生えず、目も口も描かれていない段階。
この状態で目にした人には、卑猥なものを描いたと勘違いされる可能性大。
数週間前から、高杉は教室に現れるようになった。
それは、ボンタンランハン事件が収束して程ない頃。