第15章 【第十一講】帰ってきた史上最強最凶最恐ヤンキー
「え、昨日? あのプレハブ小屋に乗り込んだの?」
また翌朝、今度は副委員長から報告を受けた。
昨放課後、近藤、土方、沖田の三人は高杉一派の根城に乗り込んだという。
ステッカー事件に関わるなという警告のため。
「なんで声かけてくれなかったの?」
「お前は部活だろうが」
「知ってたら、部活休んでそっちに行ったよ」
「主将がそう簡単に休もうとすんな。きちんと役目をこなせ」
「風紀委員の仕事だって、立派な役目だよ」
強豪校なら主将が部活動を怠れば示しがつかないということもあるだろうが、銀魂高校剣道部は平々凡々な部活動だ。
様々な理由で部活に出ない生徒も多いし、主将だからといって部活を最優先にしなければならないわけではない。
○○が部活動に精を出しているのは単に剣道が好きだからだ。
今最もすべきことが他にあるなら、部活を休む選択肢も充分にある。
「それに、そろそろステッカー事件に本腰入れようと思ってたし」
ステッカー事件とは、数ヶ月前からかぶき町で勃発している詐欺のような事件のこと。
たかが紙切れ一枚、ステッカー一枚を数万円で買わされる高校生が続出していた。
買わなければ暴力を振るわれるため、痛い目に遭いたくなければ金を払うしかなかった。
校外の事件のため風紀委員もしばらく静観していたが、銀魂高校の生徒も被害に遭い始めたため調査に乗り出した。
だが、犯人に関して未だに手がかりは掴めていない。
○○自身も部活後に繁華街で犯人らしき人物を探しているが、未だ出くわしていない。
「私に売りつけようとしてくれれば、その場でとっ捕まえてやるのに」
舌打ちをする○○を見て、山崎は頬を引きつらせる。
「それがわかるから、犯人も接触して来ないんじゃ……」
竹刀を持った目がギラついた女をターゲットにしようなどとは、詐欺犯も思わないだろう。
詐欺犯じゃなくても、避けて通るに違いない。