第15章 【第十一講】帰ってきた史上最強最凶最恐ヤンキー
「…………」
また翌翌翌……
何日か後の朝、○○は爽やかな朝に似合わないドス黒オーラを全身から発していた。
○○の前には、うっとうしい長髪が爽やかな表情で座っていた。
「これで部活に精が出せるな。○○殿」
ステッカー事件の犯人は春雨高校の生徒だった。
彼等は春雨高校から別の高校に転校した生徒によって壊滅させられた。
との情報を、今しがた、桂から聞かされた。
「春雨高校の神威といえば、ここらで知られる不良だが、今は夜兎工業にいるということだ」
神威達はたった三人で相手方の二十人のヤンキーをボコったという。
圧倒的な強さだったと、見たことを桂は○○に伝えた。
○○は顔を伏せている。
「どうした、○○殿? 腹でも下しているのか?」
うん? と桂は○○の顔を覗き込んだ。
キッと顔を上げると、○○は桂の長髪を引っ掴んだ。
「なんでお前がそいつらのアジトに行っとるんじゃァァァ!!」
風紀委員は、ステッカー押し売りグループの尻尾すら掴めなかったというのに。
○○は桂をハンマー投げの如くぶん投げた。
ぶん投げられた桂が衝突する寸前、ガラリと扉が開かれた。
「おいおい、危ねーな」
開いた空間を抜け、桂は廊下の壁に激突。
「ぶん投げるなら、先に扉開けとけ。ガラスが割れんだろ」
3Z担任の坂田銀八が教室に足を踏み入れる。
「ホームルーム始めんぞー」
バタバタと自席へと戻る生徒達。
○○が桂をぶん投げても、桂が廊下でのびていても、朝の時間は通常通りに始まる。
それが3Zクオリティ。
【第十二講】へ続く→