第15章 【第十一講】帰ってきた史上最強最凶最恐ヤンキー
「で、そいつらは瞬殺されたってわけか」
翌朝、○○と山崎は目撃した一部始終を委員長、副委員長に報告した。
――高杉ィィィ!! ここにいることはわかってんだぞォォォ!!
――死にたくなけりゃ出てきやがれェェェ! 殺してやんぞォォ!!!
ぞろぞろとやってきた不良共は、高杉が根城としている小屋の前で奇声を上げた。
「あいつら、高杉狙ってんの?」
「面白くないんじゃないですかね。奴等にとっては」
同じ不良だというのに、高杉だけが連日校内で大々的に扱われている。
それが気に食わない。
――ここにいんのはわかってんだぞォォォ!! いい加減出て来やがれェェェ!!
――殺されたくなきゃ出てきやがれェェェ! 殺してやんぞォォ!!!
「出て来ても来なくても殺すって言ってんの、わかってんのかな、アレ」
高杉達がどう動くのか。
山崎と○○は静観した。
――いつまで待たせる気だァァァ! まさかいねーのか!? ああ!?
――え、いねーのかァァァ!? いなかったら殺すぞォォォ!?
「焦ってるよ。バカだね。本当にバカだね」
○○と山崎は、小屋に高杉と万斉が在室していることを知っている。
あの二人にしても、バカの相手は面倒臭いのだろう。
「あ、出て来た」
プレハブの扉が開き、中から長身の男が現れた。
河上万斉だ。
――高杉どこだァァァ!
――高杉出せやァァァ!!
弱い犬程よく吠えるというが、聞こえるのは不良達の奇声ばかり。
「高杉も出て来ましたよ」
殺気立つ不良共とは対照的に、悠然と高杉は現れた。