第14章 【第十講】間近な動物のにおいはかなり強烈
「ビンゴォォォ!」
「お前バカだろ!」
よりにもよって、沖田は近藤に向かって生肉を投げた。
生肉のネックレスは近藤の首にすっぽりと収まる。
肉の匂いを察知したトラは、再び近藤に向かう。
「あああ! 近藤さんが美味しそう!!」
絶体絶命の状況に、近藤は白目を剥いて失神してしまった。
このままでは、近藤はトラの胃袋に収まってしまう。
「助けなきゃ……!」
○○は竹刀を握る。
「バカ! お前、トラに向かう気か!?」
走り出さんとする○○の腕を土方は掴む。
「そうするしかないじゃない!」
「てめーが食われるだけだろ!」
「逃げられない近藤さんより、逃げられる私が追われた方が助かる可能性高いでしょ!」
「トラに追いかけられたら、どっちも変わんねーよ!」
暴走しないよう、土方は有りっ丈の力で○○の腕を掴んで離さない。
「どうにか助ける方法を――」
焦る土方の視界の端に、白い毛並みが入った。
こんな時に、更なる危険動物――
と思ったが、
「あの犬……!」
姿を見せたのは巨大犬の定春だった。