第14章 【第十講】間近な動物のにおいはかなり強烈
放送により、○○は事態を把握した。
恐らく、3Zの誰かが起因で銀魂動物園が出来上がった。
3Zの生徒以外は出るなということは、動物捕獲に動いている十数人こそが3Zの生徒ということだろう。
○○は武道場の倉庫へ向かった。
「え、先輩……」
戻った○○を見て、後輩は絶句した。
手に竹刀を握り、弓矢を背負っている。
「まさか……」
「狩りに行く」
「無謀ですよ……!」
犬猫ならいざ知らず、相手はゴリラやトラ。
そんな相手に竹刀で挑むなど、人間相手にチクワで戦うようなもの。
「弓道の経験はあるんですか!?」
「ない」
武道場で見つけた弓道部の武具。使ったことはないが、武器は多いほうがいいと、持ち出した。
「ただでさえ無謀なのに、使ったこともない武器で――」
「理屈じゃないんだよ」
○○は後輩の言葉を遮る。
「友達が危険なことをさせられてるなら、安穏と隠れているわけにはいかないんだよ。風紀委員だし」
○○は武道場を後にした。
男子生徒は勇敢な我が部の部長を誇らしく思うと同時に、首を傾げる。
「風紀委員って、今回の件、関係あります?」