第13章 【第九講】どんな映画にも一箇所くらい見所はあるよね。ない?
応急処置を施し、勝男はオーディションを再開した。
ただし、女子は後回し。先に男子を選ぶことにするとのことで、まずは新八から芝居を始めた。
「不合格や」
地味を理由に不合格が言い渡され、続いて近藤。
「不合格!」
続いて土方。
「不合格!」
○○が役者を志望していないことを知り、土方は本気で取り組む心を失っていた。
「不合格!」
「不合格!」
沖田、桂、以下略。
誰一人として、勝男が認める芝居を見せる生徒はいない。
ロクなことがないと女子を後回しにした勝男だったが、男子の方がロクでもないということを、3Zというクラスを知っていれば誰にでもわかる。
『ごめんね、急に呼び出して』
『構やしねーよ。なんだよ、話って』
『うん、もうすぐ卒業でしょ。だから……』
○○は俯く。
沖田は○○の頭上を見つめ、言葉の続きを待つ。
『気持ちだけは伝えたくて。私、総悟くんのことが好きなの!』
頬を赤らめ、○○は沖田を見つめた。
『んなこと、前から知ってらァ』
沖田は優しく微笑んだ。
『俺の方が、ずっと前から○○のこと見てたんだからな』
『総悟くん……』
沖田は○○を抱き締――
「待て待て待てェェェ!!!」
邪魔が入り、沖田と○○は芝居を止めた。