第12章 【第八講】発売から随分経ってるから(略)作品がわからない
十字に縛ったジャンプを抱え、○○は下駄箱へと向かう。
今日は大掃除のため、ゴミはゴミ捨て場ではなく、各学年の昇降口前へと集められている。
ゴミを持ってくる生徒の姿がチラホラと見受けられるが、3Zの生徒の姿はない。
果たして、彼等はきちんと掃除を行っているのだろうか。
校内の美化は美化委員という担当がいるが、風紀委員も一翼を担っている。
校内の乱れは風紀の乱れ。清潔に保ってこそ、風紀も保たれる。
風紀委員の面々の顔が○○の脳裏に浮かぶ。
3Zの風紀委員達はトイレ掃除を命じられていたが、きちんと行っているだろうか。
沖田は当てにならないとして、近藤はどうだろう。土方は真面目に取り組んでいるだろう。
山崎の存在は忘れている。
銀八のデスク掃除が粗方終わったら見廻りに出るかと思いながら踵を返したところで、
「どこに行きやがった!」
聞き覚えのある声が壁の向こうから聞こえて来た。
きちんと掃除しているだろうと思っていた、副委員長の声に他ならない。
迫る足音。○○は眉間に皺を寄せ、その姿を待ち受ける。
「何やってんの」
「□□!」
角を曲がると、そこにいたのは仁王立ちする○○。
土方は急ブレーキをかけ立ち止まる。
「何、サボってんの」
「サボってんのは俺じゃねェ! 山崎だ!!」
土方曰く、掃除をせずにミントンに勤しんでいた山崎を追い駆けて昇降口へとやって来たが、当の山崎は見失ってしまった。
「お前こそ、こんな所で何を油売ってんだ!」
「私はゴミ捨てに来たの!」
ビシッ、と○○は昇降口前に集められたゴミの山を指し示す。
「全く。風紀委員がちゃんとやってないなんて、示しがつかないよ」
○○は自身がジャンプを読んでいたことなど忘れたように説教をする。
言いながら、○○は土方の横を通り抜け、階段を昇った。
職員室に戻る前に、風紀委員の仲間達の様子を見に行く所存だ。