第9章 宮侑
「私は誰よりもいろんな人を見てきた!だから余計に怖いの!悪口にも暴力にも慣れても怖いものは怖い!侑みたいに強くない!私は逃げて生きてきた、逃げて弱い自分を隠すように感情を押し殺すことしかできないの!」
「だからなんやねん!!小鳥遊ん時のゆいなかっこよかったで、うまく言えへんけどゆいなは弱くあらへん。バレるのが怖いんやったら付き合うとること言わんければええやん、もしゆいなが何かされたら今度こそ俺が助けたる!」
侑の必死な言葉
「ゆいな、俺と一緒にいてくれや。本気で好きなんや。俺が辛い時1番に頼られたいし助けたいんや」
ポロポロ涙が溢れ出た
治の言った通りだ
“ ツムは諦め悪いで、宮侑はゆいなが思っとるほど諦めよくないで”
本当に諦め悪いしバカだしアホだし嘘はバレバレだし
でもその分あったかくてまっすぐな言葉をくれる
「…好き…侑…好きだよ」
「俺も、ゆいなが好きや。付き合うてくれる?」
「私でいい?めんどくさいよ、いっぱい迷惑かけるよ。また小鳥遊みたいな父親が出てくるかも」
「それでもええ、そんな奴現れたら今度こそ俺が助けたる、やから付き合おうや」
「うん…付き合いたい」
「ほんまに!!よっしゃぁー!!」
侑は私に飛びついて抱きしめてきた
「で、でも条件ある」
「なんや?なんでもするで」
「…あんまり広めたくない……もしも言いたいなら、排球部だけがいい…他の人には言わないでほしい」
「わかった!絶対言わんわ!銀とかにしか自慢せぇへん」
「自慢はしなくてもいいよ」
「えぇ〜俺は好きな子の自慢したいねん」
「バレちゃう」
「バレへんようにするから!な?な?」
子犬みたいな目で見られると断れないけどここは鬼にして
「だめ、守れないなら付き合えない」
「うっわ、わかったからそれだけはやめてやぁ」
私は宮侑とのお付き合いが始まった
隠し通せるのか少し不安もあるけど
侑の顔見てたら少し安心してしまう私がいた