第9章 宮侑
頭を強引に掴まれて
「なぁ俺に楯突いていいっていつ言った?」
あの日、あの時の顔と同じで
私の体がかたまる
“出来損ない”
“お前は俺の言うことだけ聞いてればいい”
“お前を好きになるやつなんて誰もいない”
「泣けよ、泣けて言えよ。俺にはもう一生楯突かないと誓え。はやく泣けよ!!ほんとてめぇは感情もねぇのかよ!!」
どん底におとされた
でも
“ ひとりで抱え込まなくてもいい”
“ひとりで抱え込むなっちゅー話や”
殺せんせーと北さんの言葉を思い出した
“君には助けてくれる仲間がいる”
殺せんせー…大丈夫、もうあの日の私は捨てたから
私は前を向いた
「…私はあんたなんかのために涙流さない、私はあの頃の私を捨ててここにいる!あんたの言う通りになんてならない」
「ほぉやってみろよ!!力でも敵わねぇだろ!」
一回見たことある
渚がカルマにやってた
飛びつき三角絞め
私は助走をつけるため少し後ろに下がった
「ゆいな!やめや!!」
「危険や、はよこっちに来るんや」
「…一年生が戻る前にケリはつけます」
私は走って飛びついた
足を首に巻きつけた
「おまっそれをどこでっ!!」
そのまま床に勢いよく押し付けられた
背中が痛い
でも離したらまけだ
「1年間暗殺の訓練受けました。標的は人間じゃない超生物。私は!百瀬ゆいなはあの頃の操り人形になんて戻らないっ!!」
「お前!!」
「確かにまだ昔のトラウマがいっぱいへばりついて前に進めてないところあるけど!!それでも少しずつ成長して前向けてるの!邪魔しないで」
「お前1人で何ができる!!」
確かにこのまま1人で何かできるわけじゃない
でも私はもう助けを呼べる
勇気がある、信頼できる仲間がいるから
「…たすけて、たすけてください!」
そう言うと北さんがふっと笑って
「当たり前や、お前ら小鳥遊監督に教わりたい思うか?俺は思わへん。暴力を振る奴に教わりたいか?」
みんなの意見は一致した
「ならゆいなを助けたろや」
これが私の新しい仲間
みんなはコイツの動きを止めるのに加勢してくれた
「これが…稲荷崎排球部の答えです。どうしますか」
「…くっそ!!」
そして
力強い仲間が来たみたい
「ゆいな〜!ここにいるの?」