第9章 宮侑
NO side
ゆいなと侑のギスギスは部員全員が勘づいた
「…これ……スポドリ…」
「……おん…」
目も合わせなければ
2人がいつものように笑っていなかった
「なんやあの2人…何があったん?」
「分からんわ、昨日何かあったんやろか」
ヒソヒソ話が飛び交う
「侑とゆいななんて珍しい組み合わせやんな」
「喧嘩って雰囲気やないし、そのうち元に戻るやろ」
「信介珍しいなぁ、止めへんの?」
「おん、まだせぇへんよ」
「まだ?」
「ゆいなには釘刺しといてん、やからあとは2人がどう動くかやろ、なんかあったら止めるわ」
そのまま放課後へ
「大丈夫やろか」
「2人とももう2年や、自立せなあかん」
「せやけど」
「なんかあればちゃんと俺が仲裁に入るわ」
「ならええけど」
「北さん、私メニュー表のやつとってきますので少し先外します」
「おう、頼んだで」
ゆいなが体育館を出て少しした頃に監督が体育館に入ってきた
「おーいお前ら、今日は臨時のコーチが指導してくれんで」
「誰ですか?」
そこに現れたのはバレー好きなら誰もわかる監督が目の前にいた
「え!!小鳥遊監督!!」
「おー知ってくれてんの嬉しいわ、よろしくな」
一見チャラそうな見た目だが実力は確かなもので
数年前に引退してそれから行方がわからなかったお方で
部員は愛を語っていた
席を外していたゆいなが戻る
「監督、メニューのかく……」
「あ、百瀬今日はこの小鳥遊監督に任せようと思ってんだ」
ゆいなは青白い顔して一歩後ろに下がった
「こちらうちのマネージャーしてる百瀬ゆいなです、小鳥遊監督」
「百瀬ねぇ……久しぶりじゃねーか百瀬」
「なん……」
「お前と出会った時には引退してたから言ってなかったもんなー、俺はバレーボールの監督してたんだよ、まぁ今日一日よろしくな」
「………はい」
「そんなかしこまるなよ!俺らの仲だろ?」
「百瀬と知り合いでしたか?」
「ええ、東京にいた時に少しだけね」
「…今は海外にいるって聞いてました」
「帰国したんだよ、一時的に。もう戻るけどな」
「そうなん、ですか」