第9章 宮侑
「泣いてないっ」
「泣いてるやんか」
「泣いてなんか…「ゆいな」」
真剣な顔して私の目を見つめてくる
「ほんまに嫌なら突き飛ばしてくれや」
そう言うとゆっくり私の頬に手を添えて
顔を近づけてくる
拒まなきゃ
わかってる
わかってるけど
チュ…
私は侑を拒まなかった
震える手は侑の胸板についていてあとは押すだけなのに
押せば突き飛ばせるのに
押せなかった
ゆっくりと私たちの距離は広がる
「なんで…なんで突き飛ばさんの…」
「…ごめ…ごめんね…」
やっぱり好きなんだよ
侑が好きなんだ
「…なぁゆいなは何を心配しとるん?俺が他の女のとこ行くって思っとるん?」
首を横に振ると
「じゃあなんなん?俺の悪いところ治すから!俺は本気やで」
「……らい…」
「なんて?」
「嫌い!私は侑なんて好きじゃないから!!」
ドンッ
侑を押して私は逃げ出した