第1章 始まり
そんな私を救ったのは殺せんせーとE組だった
父親の機嫌を悪くさせたら殺される気がして
学校でも家でも人の顔色伺って
ビクビク怯えながら過ごした私に殺せんせーは手を差し伸べてくれた
「君は1人じゃない」
初めはその言葉を信じることはできなかった
でも父親が酔っ払って学校まで乗り込んできた時
私はどん底へ落とされた
「俺はぁ!お前の父親だろ!父親の言うこと聞けないのか!!」
その日はずいぶん荒れていて私への言葉の暴力が酷かった
「本当の俺の子はもっとすごい、お前はあいつらの出来損ないだ」
それでも必死に笑って
「本当の家族じゃない…ですもんね」
「そうだあ!お前は俺の言うことだけ聞いてればいい!家族じゃない奴隷なんだからなあ!!」
涙を流したわけじゃない
助けてって言ったわけじゃない
なのに殺せんせーは私を救ってくれた
心の内にあったSOSに気が付いてくれた
「この子はあなたのペットでもおもちゃでもありません!!1人の人間です。感情がないわけじゃない!」
「君は悪くない、ひとりでよくここまで頑張りました。辛かったですね、もう大丈夫、君には助けてくれる仲間がいる」
「ひとりで抱え込まなくてもいい」
初めて人前で涙を流した
「うえ…っひっ…えぇ…」
「ずっと苦しかったですね。今までよくがんばりました、たくさん泣きなさい。その分強くなれます」
そのおかげで少しずつ喜怒哀楽がはっきりしてきた
だから次の再婚相手には学校行くなと言われた時に
自由になりたくて反抗したけど暴力で解決された時だって
「助けて…ください…」
そうちゃんと言葉にすることができた
私がカルマと付き合ってた頃のような性格に戻ったのは
殺せんせーのおかげ、E組のおかげだった
友達もできた
話すのが好きになった
よく笑えるようになった
私は置いてきてしまったピースを
やっと取り戻すことができた