第9章 宮侑
カルマside
「負けちゃったね」
「ゆいな大丈夫かなー?」
みんなでゆいなを探していた
人気が少なくなると
微かに声が聞こえてくる
「ゆいなの声っぽいね!」
近づいて行くとともに甘い声とリップ音が聞こえてくる
「…ん…っ…やめ…」
無理矢理かもしれないそう思って
声を出そうとした時
「自分ら」
「!!」
「堪忍してやってや。好き同士やから心配せんでもええ」
「えっ!でもゆいなからそんな話…」
聞いてない
でも
昨日からゆいなを見ててなんとなく気づいてた
「うちの部の奴ら以外知っとるやついないよ。もちろんゆいながバレたくないって言い出したしね」
侑くんと2人で話してる時の顔がすごく嬉しそうで愛おしそうだったのを覚えてる
そっか、ゆいなは侑くんを好きになったんだ
「…ふっ…ん…侑…ぅ」
「ほんまに好きやで、他の男に笑わんでほしいわ。みんな惚れてまう」
口を押さえて涙ぐむ彼女の姿を横目に
俺は帰ろうかなと思った
「まぁそろそろアイツ歯止め効かなさそうやしゆいなを助けてやるか」
治くんは普通に歩いて
パシンッ
「なにすんねん!」
「ゆいな泣いとるやろが。ここは一応会場やぞ。場所を考えろや」
「あ…ぅう…ほらぁ…侑のばかぁ」
「でも気持ちよかったやろ?」
「もうしゃべらない…きらい」
「それは堪忍してや!!ゆいな!すまん!!もうせぇへん」
あぁ幸せそうでよかった
小鳥遊の話を聞いたときに俺はまた助けられなかった
それでゆいなに合わす顔もなかった
その結果がこれなんだ
「ゆいな」
「カルマ、みんな…」
「お疲れ様」
「うん、ありがとう」
また俺ら前みたいになんて夢見てた
でも前みたいに戻れない
それでも良いからゆいなのそばにいたい
ただの友達としてE組の仲間として
「ゆいな、幸せになりなよ。侑くんとお幸せに」
「ありが…とうぅ…」