第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
エペル『ユウクン。しっかりチャンの手は拭いておいてね。にしても、さっきのヴィルサンたちの叫び声の理由はこれか。す、すごいキザな人..』
セベク『..はっ!き、貴様まさかマレウス様の手にも接吻を..!?だとしたら到底許されんぞ!』
ギャンギャンとセベクが吠えたてるのを聞き流しながら、一同は今何が起きているかの状況整理を始める
古本市で見つけた謎の古書。グリムが開いてしまったことで、その周りにいた自分たちを巻き込んで、どこか知らない森へと飛ばされ服装が変わっていた
人の手が入っていない鬱蒼とした様子に、ここは学園の近くの森ではなく、おまけにスマホは圏外で全く使い物にならない
更に上空を偵察に行ったマレウス曰く、ある地点で空間が遮断されており魔法もそこでは使えない事がわかった
次に持ち物の確認で全員が懐のマジカルペンを取り出し確認すると、スカリーはそれを興味津々に見つめていた
スカリー『マジカルペン?』
トレイ『知らないか?魔法を使いやすくするものなんだ』
エペル『そういえばスカリーサンって、魔法は...』
『『使えるよ/使えるんだろ?』』
とレオナの声が重なり合う。魔力の匂いを感じ取れる獣人ゆえの嗅覚が、彼から漂う魔力を嗅ぎ取る
レオナ『そこそこ魔力の匂いがする。エペル、テメェと同じくらいってとこだな』
スカリー『そんなことがお分かりになるのですか!?なんと聡明な方々。
おっしゃる通りでございます。我輩も魔法士の端くれ。今は学校に通っております』
トレイ『学生?今何歳なんだ?』
スカリー『16になったところでございます』
セベク『なんだ。僕と同い年ではないか』
エペル『大柄なセベククンよりもっと背が高いから僕より年上だと思ってた..』
スカリー『お二人は我輩と同学年でいらっしゃるのですか。より距離が近づいたように感じられますねえ』
『『近づいていない!』』
リドル『ふふっ。年上に感じたのは、身長ではなく物腰の問題じゃないかい?君たちより随分と優雅だ』