第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
向こうで話を続けるレオナたちに聞こえないように声を落としながら、スカリーを安心させるように小さく微笑む
そんなの姿に、スカリーの胸の奥にジワジワと温かいものが込み上げてくる
スカリー『..ああ、なんてお優しい人なんでしょう。怪しい人間である我輩にそんなにも言葉を尽くして微笑んでくれるなんて..
ありがとうございます、素敵な方。どうか、そんな貴女のお名前をお聞かせいただけませんか?美しく麗しい、素敵な兎のお嬢さん』
『..。・』
スカリー『とても可愛らしいお名前ですね。素敵な貴女にとてもお似合いだ。もしこの拘束が外れた際には、改めて初めましての挨拶をさせてください』
『ん..(優しい人...っぽい)』
その後、臨時の寮長・副寮長会議の結果、NRCお得意の"雑魚は泳がしておけ"ということになり、スカリーの拘束は解除された
手のひらくるっくるの態度で解放されたスカリーだったが、さして本人は気にした様子もないまま、嬉しそうにレオナたちに名を聞いて回り始める
ユウ『あんまり危ないことしちゃだめだよ』
『むぅ』
エペル『もしチャンを狙う悪いやつだったら大変なんだから』
『...ごめん』
グリム『ったく、オメーはすぐにそうやっていつも、』
『『『うわっ!/ちっ!/なにをするんだい』』』
『『『おおっと!?/おや/うっ/ひいっ!』』』
『『ちょっと!/ほう』』
グリム『ん?なんだあ、今の叫び声は』
突然寮長たちからあがった驚く声に目を向けると、必死に魔法を手かけたり、服の裾で手を拭いたりしていた
そんな彼らを尻目に、スカリーはその長い足でこちらへと大股で近づいてくると、"名前を伺いたい"と言い出す
エペル『ええっと..僕はエペル・フェルミエです。よろしくお願いします』
セベク『..セベク・ジグボルトだ。人間などと仲良くするつもりはないが、マレウス様に倣い、名乗るだけはしてやろう』