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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第67章 私に構わず禰豆子のところに行きなさい






正直、二人とも義勇は反対するだろうと思っていたからだ。(杏寿郎においては本気で止めてほしかった)

桜は耀哉が義勇に確認をとった時点で反対してくるであろうことは覚悟していたので言い争うつもりでいたのだが予想外のことに肩透かしを食らっていた。

一方で、杏寿郎は禰豆子のために命を懸けようとする桜の意思を選んだ義勇に驚いていた。

彼女が切腹すると名乗り出た時も驚いたが……。

桜が犠牲になることはない、杏寿郎はなんとしてでも止めたかった。

だが頼みの綱である義勇はそれを認めてしまった。

自分には反対する権利はないと思ってはいても口出しせずにはいられず、杏寿郎が耀哉に申し出ようとした時。



「……切腹するから何だと言うのか。死にたいなら勝手に死に腐れよ。何人命を懸けたところで何の保証にもなりはしません」



その一部始終のやり取りに肩をワナワナと震わせた実弥に一蹴された。

実弥の言うことも、もっともなのだ。

この時点で禰豆子が人を襲わないというのは炭治郎や義勇たちなど、ごく一部の者だけが知るのみで、反対する者達は実際その目で見たわけではないので、やはり言葉や約束事では信用に足りないのは当たり前のことだ。

耀哉も、そこは理解を示す。



「ただ、人を襲うということもまた証明できない」



切り返されたその言葉に実弥を始めとする反対派は何も言い返すことができなかった。

それもまた紛れもない事実だからだ。

誰も禰豆子が人を襲う姿を見ていないのだ。



「禰豆子が二年以上もの間、人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために四人の者の命が懸けられている。これを否定するためには否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない」



そう言われればもう誰も何も言えなかった。

それだけ耀哉の言葉は正しく筋が通っていると誰もが思えたからだ。

そして、耀哉がみんなにも禰豆子を認めてほしいと願った理由がもう一つあった。



「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している」



耀哉がそう切り出した瞬間、柱達の顔付きが一斉に変わった。





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