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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第60章 冨岡さんの言う通り、この鬼は他の鬼と違う








桜は炭治郎を逃がしたあと、利き脚を軸に反転すると、その勢いで上に飛び上がった。

追っ手の行く手を遮るように枝に飛び乗ると、足を止めた隊員の姿が明らかとなる。



「やっぱりカナヲちゃんだったね」

「っ、」



立ち塞がった桜にカナヲが少し驚いたように口を開いた。

鬼を追って来たカナヲを、まさか妨害するのが同じ鬼殺隊、それも桜だとは思わなかったからだ。

鬼が逃げる方向を明らかに遮る行為。

時間稼ぎをされていると、カナヲはすぐに悟った。



「ごめんねカナヲちゃん。この先に行かせるわけにはいかないの」

「………………」



困ったことにカナヲがしのぶから指示されているのは鬼を狩ることだけ。

桜が立ちはだかるなんて聞いてないし、こういう時はどうすればいいのか指示も受けてない。

おまけに隊員同士で戦うことは隊律違反にもあたるわけだーーーーけど、相手は鬼を庇っているわけで。

任務遂行のために邪魔を排除しようとする行為は隊律違反にならないのだろうか。

そもそも、桜はなぜ自分の邪魔をして鬼を逃がすのか。

いや、むしろ鬼がいることを知らない?まさか桜が?

カナヲの頭は、考えることがいっぱいすぎて大混乱していた。


こんなときはどうしたら………。


カナヲは判断に迷った結果、コイントスに頼ることにした。

裏なら桜を牽制し指示通りに、表なら一旦師範の指示を仰ぎに。

カナヲは銅貨を親指で上に弾き、落ちてきた銅貨を片方の手の甲で受け止め、すぐさま他方の手で押さえた。

銅貨はーーーー裏。



「鬼を……斬らないと………」



カナヲが構えたのを見て、桜も日輪刀を鞘から抜いた。

斬り込んでくるカナヲの刀を桜はかわしながらも、先に進もうとするカナヲの行く手を阻むことは忘れない。

攻撃を仕掛けるのはカナヲなのに、桜が今立っているところから一歩も先に進めない。





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