第59章 誰のためにそこまで必死になっているのやら
その方向が炭治郎たちが逃げた方向だと分かると、義勇は直ぐ様身を翻しその後を追いかけた。
しのぶが継子と合流されると、ますます厄介だ。
いくら桜でも一人では太刀打ちできない。
身軽なしのぶが枝から枝へと飛び移るその姿を義勇は見上げながら追った。
「それで私に追い付く気ですか?」
しのぶは走りながら追いかけてくる義勇を見下ろし笑みを溢す。
誰のためにそこまで必死になっているのやらと。
普段その表情を崩すことのない義勇だが、桜が絡むと余裕はないようだ。
もっとも、しのぶとて本気で桜のことを処罰しようなどとは考えてもいないのだが。
こんな義勇の姿を滅多に見ることがないため、しのぶの悪戯心に少し火が点いた。
「私を止めようとすることも結構ですけど、もう一人いることもお忘れなく。桜さん一人で坊やを守りながらは大変かもしれませんね」
「っ、」
しのぶから一切視線を外さない義勇の目が僅かに細められた。
しのぶの真下まで追い付くと、義勇は力強く大地を蹴り、その高さまで飛び上がった。
少しからかっただけの言葉が義勇の気持ちにも火を点けてしまったようだ。
まさか追い付かれるとは思っていなかったしのぶは眼前に迫る義勇の姿に目を見開き驚いた。
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≡大正こそこそ噂話≡
アニメのこのシーンがすごく好きなのでカットしたくなくて、話の中に加えさせてもらいました(〃∇〃)
ヒロインの出番なし回だし、短くてすみません……。
桜花