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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第56章 こんな形で再会するなんて運命ですよね







累からしても何をされたかわからない。

あんなに念を込めて作り上げた強力な糸を、まるでハサミで切るかのごとく、あっさりと絶ち切られた。

まだ足りなかった?あの程度の糸ではだめだった?



(もう一度……)



同じ血鬼術を使おうと累は手を翳す。

ゆっくりとこちらに歩んでくる義勇の姿は見えていた。

累が瞬きをするために目蓋を閉じまた開けたその一瞬、義勇が累の横を通りすぎたと同時に真横に刀を振り頚を斬った。

累の頚が胴体とずれたと同時に義勇が刃に付いた血を薙ぎ払う。






(さすが冨岡さん、あの大技をものともしないなんて………)



離れた所で、その一部始終を見ていた桜。

拾壱ノ型を使ってから累の頚を斬るまでが、なんといっても早かった。

まるで流れ作業を見ているようだった。

この山から脅威が去ったこと、全てが終わったことに桜がホッとしたのも束の間、累がフラフラとこちらに向かってくるではないか。

日輪刀から離していた手をとっさにその柄に添えるが、その体からはもう殺意が感じられないのを知るとまた手を離した。

累が桜の存在などまるでないかのように横を通りすぎていく。

桜が振り返ると、累が竈門兄妹に手を伸ばしているところだった。

累が死に際になにを思っているのかは分からないけれど、ボロボロと崩れていくその体でゆっくりと炭治郎たちに寄っていく。

桜はその様子をジッと眺めていた。




さらに、その様子を義勇が離れたところで無表情に見ている。




死ぬゆく直前、累がなにを思い、なにを感じ、なにを思い出したのかは誰にもわからない。

炭治郎になにかを求め、すがるように近くに倒れ込んだ累の背を炭治郎が手を伸ばしそっと触れてあげると、自分がしてきたことを悔いるように何度も謝罪しながら累はハラハラと消えていき、着ていた物だけがその場に残った。





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