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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第52章 猪くん。その体では無理ですよ。






「俺と戦え半半羽織!!」



突然立ち上がりとんでもないことを言い出した伊之助に桜が目を丸くする。

伊之助の体はこれまでの戦いで受けた攻撃で傷だらけ、しかも喉を押し潰された状態でとてもではないが軽傷とは言いがたい。

鬼相手にだって戦うなんて無理だ。



「猪くん。その体では無理ですよ。まず軽い怪我だけ治しておきましょうね」



桜が優しく声をかけてみるものの、伊之助の意識はすでに義勇にしか向けられてない。

戦う気満々の伊之助に、自分の体の状態を理解できているのだろうかと桜は疑う。

そもそも、なんで柱と隊員が戦う必要があるんだとすら思う。



「あの十二鬼月にお前は勝った!そのお前に俺が勝つ!そういう計算だ!そうすれば一番強いのは俺って寸法だ!!!」



おー、なるほど、どんな理屈だ。

酷いことを言うようだが、あの程度の鬼を相手に死闘を繰り広げていた伊之助が、一瞬で片をつけた義勇を相手に勝てるはずもないのに。

なんと単純な考え方なのだろう。

百歩譲って伊之助が健全な状態であったとしても勝てるのは不可能。



「修行し直せ戯け者」



当然、義勇にも冷たく突き放されたように言われてしまう。

軽くあしらわれ固まってしまった伊之助を少し気の毒には思う桜。



「今のは十二鬼月でも何でもない。そんなことも分からないのか」

「…………………そうなのか?」



少しの間をおき、伊之助が冷静に確認するようにクルリと桜に振り向くと、苦笑いしながらコクリと頷き返されてしまった。




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