• テキストサイズ

あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第51章 猪の被り物をした人間だ







山の奥まで行くと、森を寸断するように流れる河に出た。

河原のあちらこちらが強い衝撃を受けたように凹んでいる。

それと河を跨ぐように変に薙ぎ倒されている大木。



「向こうの木々も薙ぎ倒されているな」

「誰かが鬼と戦った跡ですよね」



みんなやられたと聞いていたけど、まだ生存の可能性もある。

ただ、それは生きていると安心できるような状況ではなさそうなのが、点々と残された血痕が物語っている。

乾き具合からすると、つい先ほどまで戦っていたようだが……。

冨岡さんはすでに正面に広がる森の奥を見据えていた。



「急ぐぞ」

「はい」



私も同じ方向に視線を向けた。



















乱雑に折れた木々の様子や肌に感じる空気の流れで鬼が近いことがなんとなく分かる。



「いた」

「っ!!」



まだ少し距離はあるけど鬼の姿が目視できた。

体格が馬鹿でかいせいだ。

気配とか圧で、その鬼が十二鬼月じゃないことに、どこかホッとしてる。





その巨躯に合う太い腕から伸びる手に頚を握り潰されているのは猪………じゃないっ!

猪の被り物をした人間だ。

その両手には日輪刀も握られているし間違いなく鬼殺隊の隊員だ。




彼のだらんと垂れ下がった腕は、すでに抵抗する力も失っている。

冨岡さんが日輪刀を抜き、電光のように走り出した。

私は木に飛び上がり、木の枝から枝へと飛び移りながら鬼との距離を着実に縮めていく。

一足先に鬼に接近した冨岡さんが、猪隊士の頚を握り潰している鬼の腕を肘から斬り落とした。

巨躯から離れた腕は重力により落下していき、一緒に猪隊士の体も落下していく。

私は瞬間、木の上から飛び降りて猪隊士を上手く抱き止めることに成功した。

なんとか地面に叩きつけられるのを防ぐことはできたけど、意外と筋肉質な猪隊士の体は重かった。









/ 182ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp