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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第47章 すでにここまで本気になっているとは ※杏寿郎視点







風呂から上がり用意された部屋へと杏寿郎は向かった。

部屋に入ると一番に押し入れの襖を開け、日輪刀が二本あることを確認する。

杏寿郎と桜のものだ。

任務でもない、ただの遠出なのにしっかりと日輪刀を帯刀しているのは桜らしい。

念のためだろう。

廃刀令が施行されているので刀を持ち歩いているのがバレると大騒ぎになるため、風呂に入る前にここに隠しておいたのだが幸いにも動かされた形跡はなさそうだった。









それから部屋の窓を少し開け外を見る。

雨脚はまだ強いままで、これでは連絡用に鴉も飛ばせそうにない。

耀哉への報告をどうしようかと思い悩んでいると、先ほどの仲居が部屋に入ってきた。



「失礼します。お茶をお持ちいたしました」

「ありがとう」

「それからお洋服は洗濯して乾かしてからお持ちしますので、しばらくお待ち下さい」



仲居は二人分のお茶をテーブルに置いていく。



「今日はお祭りが開催されるはずでしたのに、あいにくの雨になりましたわ」

「祭り?」

「ええ。この土地の神様を奉るお祭りなんですよ。晴れていたらお客様にも楽しんでいただけましたのに」



仲居は少し残念そうに教えてくれたあと、深々とお辞儀をして部屋から出ていった。







(祭りか………)



もし、この雨が上がって祭りが開催されることがあれば桜と楽しみたいな、なんて思う杏寿郎だった。







杏寿郎は煎れたてのお茶を一口飲み、ふと桜がまだ戻ってこないことに気付いた。



(遅いな………)



女性は長風呂だと聞いたことあるが、こんなに遅くては体がふやけてしまわないかと、いらぬ心配をしてしまう。

逆上せてないだろうか。

よもや湯船に浮かんでいたりしないだろうか。

杏寿郎は湯に浸かる桜の姿をつい想像してしまった。



(む!いかん!)



またよからぬことを考えそうになるので、杏寿郎はお茶を忙しなく飲みながら、それを誤魔化していると部屋の襖が開いて桜が戻ってきた。







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