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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第46章 やけに色っぽいな…… ※杏寿郎視点







この少女に他の男が目を付けて近寄ってこないように牽制するために。

男連れだと印象付けるために。

だが、それはかえって杏寿郎の理性に火を点けてしまい、沸々と沸き上がる欲を抑えるはめになってしまったが……。

その様子を見た仲居からは夫婦だと誤解されたが、悪い気はしない。

だが、実際はそういう関係ではないことを桜が仲居に伝えると驚いていた。

おまけに、桜の口から『ただの先輩と後輩という立場』という真実を聞かされた時はことさら傷付いた。

事実だが、はにかむ仕草も見せず必死に否定する桜の姿に、それ以上の関係になる可能性はないと言われたようで。

さらに、それを肯定してくれと言わんばかりに杏寿郎に話を振るもんだから、少しムッときた杏寿郎は『今はまだそういう関係だ』ということを強調して仲居に返した。

そして、鈍感なのか無関心なのかはわからないが、桜がそれに引っ掛かりを持ってくれることはなくて、杏寿郎の胸の内はさらにモヤモヤとしていた。




















◆◆◆◆◆



















それから少しあって、やっと案内された大浴場の風呂に浸かり杏寿郎は一息ついていた。

桜も今頃は隣で、と少し想像して杏寿郎はいかんいかんと首を左右に振る。



(なにを考えているんだ、俺は………)



雨がやむまでは、しばらくあの子と一緒にいるわけだから、少し冷静に頭を冷やしてから出なければ。

そう思いつつ、頭からは先ほどの桜の見慣れない浴衣姿が離れていかない。

任務のことでも考えよ誤魔化そうとするのに、そこでも桜と共に戦ったことを思い出し、汗を流す彼女の姿から結局また雨に濡れた浴衣姿に辿り着き、なかなか忘れることができないのだった。










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