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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第43章 師範からもらった物、一生の宝物にしよう







それもこれも全部冨岡さんのせいだ。

冨岡さんの言葉や仕草に喜び嬉しくなってる自分のせいだ。

困惑して私の手が止まっている間に手早く支払いを終えた冨岡さんが財布を懐に戻していた。



「挿していくからこのままでかまわない」

「かしこまりました」



冨岡さんからこんな素敵な贈り物をいただける立場にないのに。



「行くぞ」

「え……あっ、」



スタスタと先に歩き始めた冨岡さん。



「ありがとうございました。今後とも、どうぞご贔屓に」



そう言って見送ってくれた店主に私はお辞儀して先を行く冨岡さんのあとを急いで追いかけた。
















私の後頭部で、きらびやかな光を放つ玉簪。

初めて異性の人から贈ってもらったもの。



「冨岡さん、本当にこれをいただけるんですか?」

「もらってくれ」

「ありがとうございます」



その相手が冨岡さんだから、なお大切なものに感じ、そっと触れた。

師範からもらった物、一生の宝物にしよう。



「でも、どうしてですか?」



こんなことしてもらう理由がないのにと思っていると、



「俺の気持ちだ」

「…………」



なんて答えが返ってきたから、思わず自分の頬が緩んでしまった。

やっぱり冨岡さんは、隊律違反のことで落ち着かなかった私を気にかけてくれていたようだ。

励ましてくれようとした冨岡さんの気持ちが素直に嬉しかった。

他の人は愛想がないとか無口でなにを考えてるのかわからないとか、いろいろ言っているけど。

誰がなんと言おうと私にとって冨岡さんはどこまでも人の気持ちに寄り添ってくれる優しい人だった。



「迷惑だったか?」

「そんなことないです!すごく、すごく嬉しかったです!大事にしますね」

「ああ」



私も嬉しかったけど、冨岡さんも嬉しそうに笑っていたような気がして。

今この瞬間がこの上なく心が満ち足りたような気持ちになった。







このあと、予定通り甘味処に行って美味しいと評判のみたらし団子を私は冨岡さんにたっぷりとご馳走しました。








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