第42章 運命に負けないで頑張って
少し走ったところで、冨岡さんが木の幹に体を預けて待ってくれている姿を見つけた。
私が追い付いたのを確認すると木から離れて歩き始めた。
「すみません、お待たせしてしまいました」
「いや」
「……………冨岡さん、私たちのしたことは隊律違反になるのでしょうか?」
鬼殺隊の本来あるべき姿、それは鬼は狩るもの。
でも今日私がしたことは真逆で、鬼を助けてしまった。
私のしたことが正しかったのかと問われれば、何も言い返すことはできないけど、でも後悔もしてない。
「そうであっても責任は俺がとる」
「冨岡さん…………」
その言葉に私は隣を歩く冨岡さんを見上げた。
冨岡さんが初めからその覚悟があって刀を納めていたのは毅然とした態度からわかる。
だからといって私がしたことまで責任を負うのは違うような気もする。
もちろん、冨岡さんの師範としての気持ちはすごく嬉しい。
だけど、それに甘えすぎるのはよくないし、自分の行いに後悔してないのなら、隊律違反に問われたとしても自分で責任を取らなければならない。
覚悟もせず、他人に責任を擦(なす)り付けるくらいなら、あのようなことをしてはいけないんだ。
「ありがとうございます、冨岡さん。でも、もし裁判にかけられることになった時は私も一緒に責任をとります」
「桜……」
「私は冨岡さんの継子ですよ?どこまでも付いていきます」
もし私たちのしたことが本当に悪いことだったというなら二人一緒に裁かれる。
そんな私の思いが伝わったのか、冨岡さんが少し笑ったような気がした。