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あなたがたった一度の恋でした【鬼滅の刃】

第42章 運命に負けないで頑張って







「冨岡さん、それは……?」

「人間を喰わないようにするための竹ぐつわだ」



治癒が終わった折をみて、冨岡さんがそれを気絶している鬼に咥えさせている。

本当にそんなものが枷になるんだろうか。

疑問に思いながら私はその様子を見守った。




















「二人とも起きませんね」

「…………………」



仲良く隣り合って眠る兄妹の寝顔をジーっと見つめる。

こうしてあどけない姿で眠っているのを見ると、私たちと何ら変わりないように見えるのに。




冨岡さんが腕を組み木に背を預けて二人のことを静かに見守っている。

目を覚ますのを待っているのをみたところ、少年に何か伝えたいことがあるみたい。

私たちは雪が散らつくなか起きるのを待ち続けた。






















どれくらいそうしていただろう。

その時、少年のほうがバチっと目を開いた。



「目が覚めましたか?」

「!!」



声をかけると少年は私の姿に驚き、それと同時に妹を守るように急いで抱き締めた。

驚かせるつもりもなかったし、もう敵意もないんだけど。

初対面の印象がかなり悪かったせいか、私たちのことを警戒し睨み付けている。

もともとは殺そうとしていたからしかたないんだけど。

彼と話すためにも警戒心を解く必要があるから、私はなるべく優しく語りかけた。



「大丈夫ですよ。もうなにもしませんから」

「え……?」



私の思いが少し通じたのか、少年の表情も少しだけ和らいだ。

けれど、まだ完全には信用していないというのが彼の丸い瞳から感じた。

兄妹のすぐ近くにいるから、手を出されると思われているのかもしれない。

もう何もしないと言ったその証明のためには傍にいないほうがいい。

冨岡さんの話の邪魔にもなるといけないから。


私は立ち上がると軽く地を蹴り冨岡さんの隣に移動した。

すると、冨岡さんに気付いた少年の表情がまた強張った。

冨岡さんは何も気にしてない様子だけど。




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