第8章 脱出 ★
倉庫に入ると、降谷くんとジンが話す声が聞こえてきた。
倉庫内は1つの投光器がついているだけで、辺りは薄暗い。
その光に降谷くんとジンが煌々と照らしだれており、その他は目を凝らさないと確認できない状態だ。
よく目を凝らしてみると、降谷くんの傍に彼のジャケットをかけられて横たわっている人物がいた。
顔を確認できないが、川崎ミアだろう。
俺は物音を立てずに移動しながら、組織のメンバーが隠れていないかを確認する。
そして、降谷くんと繋がった無線機を1回だけ叩いた。
これは、ジン以外に仲間が居ないことを知らせる合図だ。
それを確認した降谷くんは、ジンに向かって叫んだ。
降:「ミアは返してもらいます!」
その言葉と共に、降谷くんは投光器に銃弾を放った。
一瞬にして、倉庫内は暗闇になる。
俺は降谷くんの元に駆け寄り、川崎ミアを横抱きにした。
降:「頼んだぞ」
降谷くんは、先ほどまで身につけていた無線機を俺に押し付けてジンの元へ駆け出していった。
俺は、黙って倉庫前面の入り口へ向けて走り、その場を後にした。
抱える川崎ミアの呼吸が荒いことが気になったが、まずはこの場から逃げ切ることを最優先にしてマスタングを発進させた。