第8章 脱出 ★
赤井Side
俺は降谷くんと打ち合わせた通り、指定された倉庫の裏側に隠れて中の様子を伺う。
事前に付近の様子を確認したが、組織の狙撃手の姿は確認できなかった。
降谷くんの予想通り、ジンの単独行動のようだ。
(ジンにしては、珍しいな)
俺は、組織に潜入していた時のことを思い出す。
当時から幹部として、メンバーを指揮する立場だったジン。
組織の中枢に近づくため、まずはジンと任務に就くことを目指していた俺。
その為、ジンの行動や性格は逐一、探っていた。
基本的に単独行動は好まず、ウォッカを始めとした複数メンバーと任務にあたっている。
RUMからの指示には悪態はつくことがあっても、従う。
「疑わしきは罰する」が信条で、NOCの嫌疑がかかった時点でメンバーを容赦なく、自らの手で抹殺する男だ。
しかし、それもRUMから指示があってこそ実行に移していただけのこと。
今回は全く異なる状況に、俺は疑念を抱いていた。
(組織内の均衡が崩れているのか?)
俺は、これを機に一気に組織の内部崩壊を狙おうと心に決めて、倉庫へ密かに侵入した。
(まずは、川崎ミアを救出することが先だ)