第8章 脱出 ★
赤井は、僕の作戦を一先ず聞くと決めたのであろう。
軽く相槌だけを返してくる。
降:「そして、ミアも託します。彼女の任務は、これからも続きます。そのサポートをしてください。僕が拘束されている間、彼女がターゲットを抹殺する指示も出るはずです。そこで、ターゲットの遺体が発見される事実が積み重なれば、ミアへのNOCの疑いは晴れるはずです」
赤:「しかし、これは彼女の疑いが晴れるだけで、君の拘束が解かれる保障は無いのでは?」
降:「そうですね。ただ、貴方なら仲間を見捨てないと信じています」
赤:「わかった。無理はするなよ」
赤井はそれ以上、聞いてこなかった。
僕は自身の決断は、誤っていなかったと確信する。
(この男だから、できた決断だな…)
そう思いながら、僕は彼女を救出する作戦と今後の連絡手段を簡単にすり合わせて、赤井との通話を切った。
そして、すぐに風見へ電話をかける。
風見は最初、納得できない素振りを見せたが、最後には僕の身を案じる言葉を添えて、納得してくれた。
(準備は整った。後は、ミアを無事に救出するだけだ)
僕は手遅れになっていない事だけを祈り、指定された倉庫街に車を停めた。
その時、赤井から待機場所に着いたと連絡が入った。
降:「赤井、頼んだぞ」
赤:「ああ」
僕は赤井の返事を合図に、指定された倉庫扉の鍵を拳銃で破壊した。