第6章 出会い頭の瞬き
「おまた…せ?」
山口が靴を履いて戻ってくると、月島は氷のような表情で何故かいちごミルクの紙パックを握りつぶしているし。
は何が何だか分からないという顔で、月島を見上げている。
何か事件があったらしい。
月島が毒舌責めすることは日常茶飯事だが、限りなく無の表情で黙る時が一番やばい。山口の首の裏をヒヤリと汗が伝う。
「…かえる。」
月島がダンと力一杯紙パックをゴミ箱へと放ると、低い声でそう言いヘッドホンをつけるとズンズンと歩き始めてしまった。
こちらを待つ様子はない。
「待ってよ!ツッキー!!!」
「たっくん、どしよ…急にけーくん怒っちゃった。」
山口を見上げるの瞳には、困惑が見て取れる。
「歩きながら、話聞くよ」
「うん。」
山口はサッとの手を取ると月島の後を追った。
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「…あー。それは仕方ないかも…」
「なんで??」
事のあらましを話すと、あっさりと全容を理解したと思われる山口は月島の行動に理解を示した。
でも、多くを語ろうとはせずに、月島と同じことを繰り返す。
「知らない人にもらったもの、易々と口にしないでねちゃん」
「だって、自販機から出てきてすぐのやつだよ?」
「…守れるよね?」
山口は笑顔での顔を覗き込む。でも、目が笑っていない。
「はい」
その目は有無を言わせはしなかった。