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烏たちの帰る場所。【ハイキュー!!】

第6章 出会い頭の瞬き


四月

吹く風も暖かくなり、上着も軽くなったそんなある日。

小高い丘の上にある高校…宮城県立烏野高等学校の入学式が行われた。

真新しい制服に身を包んだ新入生たちは、昇降口に掲示されたクラス分け表と睨めっこしていた。

「つ、つ、…つきしま!あっ!!けーくん4組だよ!」

「あ!ぼくもだよツッキー」

それは、月島、山口、の幼馴染トリオも同じことで。

くいくいっと、は月島の学ランの裾を引っ張った。

「…で?そういうはどこなのさ」

「残念ながら、5組です。あーーーもう!2人と一緒がよかったよぅ!」

「僕はうるさいのがいなくて、せいせいするケドね」

「ツッキーそういう事言わないの!」

「うるさい、山口」

3人はいつも通りわちゃわちゃと話しながら昇降口へと進んでいく。

付き添いで来ていた山口母と、月島母は少し離れたところからひらひらと手を振っていた。

は二人を振り返り、軽く頭を下げると新入生でごった返す昇降口に向かった…つもりだった。

よそ見をしていたせいで、玄関マットの僅かな段差に足を取られたはバランスを崩した。

「わっ!」

の声に山口と月島が振り返る。

「あぶなっ!」

山口が咄嗟に手を伸ばす。

それでも間に合わない。

はとっさに目の前にあった捕まれそうなところ…エナメル質のベルトに捕まった。

その弾みでそのベルト…エナメルバックの持ち主の肩がの頭に当たった。

「た…助かったぁ」

「…いきなり、なんすか?」

振り向きざまに問いかけてくるのは、黒髪の男子生徒だった。
その青みがかった瞳と視線が合うと、は状況を理解してペコペコと謝り倒した。

「…うす」

「…行くよ。ウチのがごめんね。」

「別に」

そんなこんなしていると、後ろから月島が出てきてサッと回収されてしまった。

「本当に君は危機管理能力ってのは無いわけ?」

月島はこんこんと説教を始める。それも心配しているからなのだが。

そんな月島にこそっと山口が耳打ちする。

「ねぇ、あれって…」

「あぁ、オオサマだね」
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